映画・スウィングガールズ
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2005/03/25
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演奏は本人達によるものだそうだが、演奏についての粗探しは好きではないし、あまり意識しないで聴く方なので、ここでは触れないでおく。
<注意>ややネタバレ含みます。
で、感想はというと、「退屈」の一言。
この映画、余計なシーンが多すぎじゃないだろうか。高校の吹奏楽部が体調不良になっていく経緯、楽器を買うまでの経緯、友人に頼んで壊れた楽器を直すまでの経緯。どれもこんなに時間をかけて描く必要があるとは思えないのだ。
最初はお客さんに見向きもされなかった演奏、スウィングのリズムが分からなかった演奏者。でも、数カット後にはいつの間にか上手くなっている。バンドを放棄しかけたメンバーも戻っていく。持ち方も分からない初心者だらけのはずなのに、上手くなっている。もっと時間を割いて描く部分は、この上達する経緯ではないのか。
バンドとしての形が成立すると、音楽祭へ出場することを決めるが、デモテープを出し遅れたために先着順の選考から漏れてしまう。しかし、当日になって空き団体ができ、運良く演奏できる事になる。無事演奏を終えエンドロール。
ユルい。ユルすぎる。
音楽祭に出れなくなった原因が「デモテープの出し忘れ」なんて、何ともお粗末。ドラマチック性のカケラも無いではないか。例えばメンバーの一人に何かあって出演が難しく、欠けると音楽として成り立たなくなってしまうとか、もっとあるじゃないか。何でよりによって「デモテープの出し忘れ」なんだ。
楽器を手にしてから演奏会発表までが実に順風満帆だ。ここがどうも物足りないのだ。私の経験では、実際の部活で演奏会を開くとするとき、こんなに上手くことが運ぶなどありえない。演奏技術が上達しない、運営・仕事分担が上手くいかない、指揮についてもめた、考え方での衝突、辞めるだの辞めないだの、誰かと誰かが付き合っただの別れただの。こういう一面を見ているからこそ、映画での演奏会までの経緯があまり苦労を感じさせず、アッサリしすぎている気がしてならないし、もっと濃く描いて欲しかった。
何もバンド内部のドロドロの人間関係を描いて欲しいと言っているのではないし、底抜けに明るい映画の雰囲気から必要とも思えない。ただ、楽器を演奏する楽しさだけではなく、最低限、楽器上達の苦悩や大人数で音楽を合わせることの難しさ、本番前日・直前の何とも言えない緊張感などを描いておかないと、クライマックスの本番のシーンが活きてこないのだ。感動へと繋がらないのだ。
事実、私が映画を見終わった直後は「音楽を演奏するってやっぱいいなあ」それだけ。それ+「彼女達はよく頑張ったなあ!」と思わせてほしかった。セル版では、練習風景や合宿の様子が映像特典として納められているようだけど、中の物語と役者の役作りは別問題。物語では物語の中で苦労している面を見せないと。
映画とは別でライブ版DVDが存在するが、もしドキュメント風に構成されているとしたならば映画本編よりこっちの方が感動できるかもしれない。あっさりさがちょうど良いと感じる人もいるかもしれないが、どうしても私には「あんなに上手く行くはずかないだろう」という物足りなさ、胡散臭さを感じてしまった。題材や役者、キャラには味があるだけに勿体無い。
私の中では、主役女優達のPVといった位置付けで、また繰り返し見たくはならない映画だ。