第8話「レインボー・ビジョン」で泣いた

 ええ、泣きました。まだ序盤ですが、デカレンジャーで泣きましたとも。
 以下簡単なお話の説明。
 人の心を読めるジャスミンと、テレポート能力を持つエスパー少年のお話。特殊能力が原因でいじめを受けて心を閉ざしていた少年に、ジャスミンが語りかける。
 話は7話と8話前後編二つで完結。
 7話でジャスミンが「私はあなたの気持ちがわかる」と、幼少期のフラッシュバックされるシーンがあり、ここから何となく展開は読めてはいた。心が読めてしまう事で人間不信になったりしたんだろうかなぁと。展開読めたけど、それでも8話で泣いてしまった。

 8話回想シーン。
 学生時代、能力がコントロールできず、あらゆる周りの心の声が聞こえ、人間不信のジャスミン。親友と信じていた子にさえ心の中で罵られた傷心のジャスミンは、雨の中、アリエナイザーに襲われる。
 「目を開けたら死ぬんだ。…それでもいいかな。みんな私のこと気味悪がるし。友達なんか要らないし。死んでも…いいや」
 殺されかける寸前でボスに助けられるジャスミン

 「助けてくれなくても、良かったのに」

 自暴自棄になるジャスミンをボスが諭す。

 「君の力を好きになるべきだ。君自身が君の力を嫌っていちゃ、誰も君を好きにならない」
 「なれないよ!こんな自分なんか!」
 「俺が保証する。君はひとりぼっちじゃない。自分を嫌いになっちゃいけない」

。゚(゚´Д` ゚)゜。ウァァァン


 ジャスミンが少年にやさしく語りかけ、ついに少年は心を開いていく。物語は収束へ。
 ラストシーン、ジャスミンから少年へ。

 「あなた自身が、好きになれるあなたに、なろうとすればいいのよ」

 話としてはベタなのかもしれない。だろうけど、でもすごく心に染みた。素晴らしいお話を見せてもらった。脚本もさることながら、木下あゆ美さんの雨のシーンの演技・声、とても良かったです。

 私の昔話でもさせてくださいな。

 別に、この回みたいな酷いいじめを受けてた訳じゃない。でも、酷い人間不信になっていた時期が有った。
 小学校から中学前半までは、そこそこ活発で友達も多い好青年だったと思う。
 中学校中盤から、まあ思春期だからなんだろうけど、勉強とか友達づきあいとかが急に嫌になり、それで成績も下がったり、他人と衝突したり。そんな自分がどんどん嫌いになっていって、すべてが悪循環で、自分に自信が持てなくなっていった。
 高校に上がったころは、「人間なんてみんな酷いやつばっかりなんだ」なんて一点張りの人間不信MAXっぷりで、いや、「人間不信」っても自分自信さえも信じていないような状態。クラスメイトとも上辺の付き合い。心なんて閉ざしっぱなし。さらに加えて、勉強も高度になってきて、進学校だった上にさらにまったく勉強しないでゲームとかテレビばっかり見てるもんだから、成績は最下位クラス。自分に自信なんてまったく持てなくなって、しまいには、「自分は生きてる価値無い」「ああ死にたい」なんて考えてばっか。

 「ああ、死にたい。別に死んだって誰も悲しんだりしないでしょ」といつも思っていたあの頃の自分。
 「死んでもいいや」と、やけになったジャスミン
 完全に、ジャスミンと自分とが重なった。涙が止まらなかった。高校時代の自分を見ているようだった。そして、ボスが高校時代の自分にも語りかけているようだった。

 「自分を好きにならないと、誰も自分を好きにならない」そして、「好きじゃないなら、好きな自分に近づけばいい」…まったくその通りだ。自分と一番長く付き合っていくのは、何より自分自身そのものなのである。そこで、いつまでも嫌いだとウジウジしていてはいけない。好きな自分になれるように、努力していけばいいのである。だから、自分を嫌いになっちゃいけないのだ。


 大学に進学した私は、是非ともやってみたかった音楽系サークルに入り、思う存分楽しんだ。バイトもやった。色々活動や仕事をこなして、こんな一面もあるんだっていう自分の新たな発見の連続だった。多くの人と出会って、自分は変わっていった。かなり、性格は穏やかになったと思う。
 まだまだダメな部分ばっかりだけど、それでも昔ほど自分のことを嫌いじゃない。好きな部分も多くなった。


 「デカレンジャー」を通して送られる、大人たちから子ともたちへのメッセージ。いや、「子どもたちへ」と限定するのは止めよう。大人にだって、十分染み入るメッセージ。どれだけの大人が自分嫌いなのだろう。むしろ、純粋な子どもたちより、思春期から大人の人たちの方が、自分嫌いな人多いのではないだろうか。

 この「レインボー・ビジョン」、自分が人間不信MAXで腐っていた高校時代に、見たかった。タイムマシンに乗って、もしくは乗せて、見せてあげたい。そして言ってあげたい。「自分を嫌いになっちゃいけない」「好きな自分になればいい」と。
 もっと早いうちに立ち直っていたら、未来は変わったのかな。

 デカレンジャー、ただの子ども向け番組じゃないよ。侮れない。