かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相

　管理人のプレイ進行：80%?（メインクリア、サブシナリオ1つ堪能まで）

　かまいたちの夜3、ほぼネタバレを見ることなく進め、先ほど一旦プレイは終了しました。
　ネット上で評判を見る前に、ここに感想を書き綴っておきたいと思います。出来るだけネタバレを含まないように感じた点を箇条書きします。

　良かった点

• 我孫子武丸がシナリオということで、1のノリが復活した。
• シリーズファンには嬉しい仕掛け・演出。
• 歯ごたえのある難易度。

　悪かった点

• ボリュームの物足りなさ。
• 登場人物の人間関係が複雑。
• 強引に綺麗にまとめようとしてないか…？
• 最後の最後でああいう方向に持っていき方ってありなの…？

　2に比べて、断然良くなっている。特にシナリオのノリや流れがかまいたちっぽくって、「ああ、これだこれだ」とファンは納得するかと。
　システム面では、「街」のシステム加わり、複数で事件を解決したり推理したりするところはなかなかよく考えられていると感じた。ゲーム好きの我孫子氏ならではのシナリオ構成。
　謎解きも難しかった事はそうなのだが、思ったほどでもなかった。ここに関しては後述。
　人間関係の複雑さによる気だるさとエピローグ直前の展開については何だかなぁと言い表せない不満感。これも後述。
　ところが、エピローグの爽やかさと、おまけシナリオのぶっとびっぷりに、やけにプレイ後すっきりな気分だ。終わりよければすべてよし…なのか！？騙されてるような。（私はあのおまけシナリオ、好きです。馬鹿で。）
　2の悪夢は少し和らぎ、「かまいたちの夜」というゲームの思い出が悪いものでも無くなってきた。かまいたちファンで、2で失望した方は、思い切って3をやって、かまいたちの最期を見届けるといいだろう。

　以下、少々ネタバレ含みます。

システム・難易度について

　確かに難しいものではあったが、「街」と同じ要領でバットエンドへの選択肢外しと読み戻しで未選択肢を選んでいく、を繰り返せば、やがて正解ルートにたどり着く。犯人選択場面では、登場人物の名をだいたい入れていけばあてずっぽうでも正解することが出来た。
　問題なのは、後半の推理シーンで犯人を名指しした後、ゲームがご丁寧にも今回のトリックを解説してくれたところ。せっかく前半にトリックのキーワード入力という場面も出てくるのに、ゲームで教えてくれたことを入力すればOK。これには拍子抜けした。前情報では「トリック入力がある」「難易度が高すぎて誰も解けないのではないか」なんてのを聞いて期待していたのに。結局、私は特にゲームを止めてじっくり推理することなく、選択肢と入力総当りでクリアできてしまった。
　あと、発売前のインタビューで開発者が「犯人は複数」といきなりネタバレしてたが、どうなのよそれは。

物語後半のオカルト展開について

　これには賛否両論あるだろう。オカルトシナリオ自体は、かま1悪霊編や2陰陽編でも取り上げられてきたから、3で毛嫌いすることは無いと思う。ただ、ミステリ編本編に組み込むのは問題だった。せめてこれが独立していたなら。制作側の視点で考えれば、冒頭で殺された某人物を、ゲーム中盤・後半も活躍させるには、オカルト処理は適しているかもしれない。突然の路線切替にはプレイしていて思わずずっこけそうになった。完全肯定はできないけど、これもおまけシナリオの一環、ということにして私は楽しめた方。

煩雑な人間関係と怪しい男

　今回強く感じた点は、登場人物の人間関係が複雑やしないか、ということ。あの人とあの人が（’実は’も含めて）恋人関係だった、親類関係だった、恨みがあった、など。殺人の動機にどれも個人的なもので（殺人はそういうものかもしれないが）、さらに加えて、怪しすぎるコートの男も登場するところから、1で強烈に感じ、3でも期待していた「無差別殺人の恐怖」「あいつが犯人じゃないか、とお互いを疑い合う疑心暗鬼」が薄れていたように思う。
　殺人事件の影響で、登場人物がみな病んでいたり、犯罪者になってたり、殺人動機の自供などから、ゲームが全体的に悲しい。事件あちこちに「哀れみ」を感じ、もはや純粋に怖がったり出来なくなってしまった。

初回プレイ後総括

　「かまいたちの夜」というシリーズは、3で完結して正解だと思う。3で手軽さは失われ、シリーズファンにしか分からないような固有名詞の連発。複雑になりすぎた登場人物の人間関係を引きずったまま、再び続編を作ってもグダグダになるのは目に見えている。1は単純明快だった。ペンションがあって、そこにお互い認識が無い客が集い、事件が起きる。もはや1のようには戻れない。
　やっぱり、「かまいたちの夜」は1まで完結させ、続編を作るべきではなかった。あったとしても、登場人物を一掃すべきだった。名作が無茶苦茶になり、我孫子氏の手で（ちょっと強引に）綺麗に纏め上げて完結させたものの、「不必要な続編」という感じが否めない。
　「真理の探偵物語」の続きは、どこへ。